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『ベルギー 奇想の系譜展』感想

 PVが楽しげで、怪奇趣味の絵画も面白そうだったので観に行った。

 会場は3つのエリアに分かれていて、「第1章 15~17世紀のフランドル美術」がいちばん奇妙で面白かった。フランドル地方のことをフランス語で「フランドル」、英語で「フランダース」というようだ。

 『フランダースの犬』で名前を聞いたことはあるが、実際に観るのは初めてのルーベンスの絵もあった。炎の剣で悪魔と戦う天使の絵など数点で、意外とそれにいちばん心惹かれた。フランドル美術初期の未熟でひょろっとした人体表現と違って、ルーベンスの絵は人体構造が正確で筋骨隆々としている。ダヴィンチなどのイタリアの画家が進化させた人体表現が取り入れられているらしい。天使が持つ「炎の剣」は微妙な小ささで、短剣という感じでもなく、密教法具の金剛杵(ヴァジュラ)のような握られ具合だった。

 展示の目玉であるボス派の絵画は、悪魔に誘惑される聖人のモチーフが多かった。絵に登場する怪物の発想が面白く、見たこともない形の生物も多くあったが、巨大な魚型の戦艦がかわいらしくていいなと思った。不気味なイメージが詰まっている感じは、日本の地獄絵に通じるものがあった。ただ、ボス派の怪物画にはほとんど流血描写が無い(人体に剣が刺さっている絵でも血が出ていない)。陰惨な地獄絵と違い、かわいらしくも受け取れる原因のひとつだろうと思った。血の赤は無いけど、絵の一角に、都市が炎上するイメージが必ず描かれていたので赤っぽさはあった。

(2017年7月15日@Bunkamura ザ・ミュージアム