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『花束みたいな恋をした』感想

(2021年)監督:土井裕泰 脚本:坂元裕二 主演:菅田将暉有村架純

 周りの評判が良かったので「どんな感じの映画かな?」と興味が湧いて観に行った。サブカルチャーを愛好する男女が、押井守監督の話題で意気投合して、付き合い始める恋愛映画。……ではあるのだけど、僕的には、なんだか恐い部分が印象に残る映画だった。

 主人公のひとり、菅田将暉氏演じる男子大学生は、似た趣味を持つ恋人を得る。しかし、大学を卒業して社会に出るにあたって、その持ち味がお金を稼ぐ役には立たない現実に直面する。そして、自身のかたちを「社会人」に矯正していく過程で、内面をも変質させていき、眼から光は消え、文化への興味を失っていく。その変化は、もしかしたら僕の身にも起こり得たことなのではないかと思って、とても恐ろしく感じた。

 他にも恐い場面はあった。最初、彼が趣味を活かしたイラスト描きの仕事を始めるのだけど、クライアントと単価交渉をした時に、「だったら、いらすとやを使うので結構です」と切り捨てられる場面、これも本当にありそうでゾッとした。あとは、物流関係の会社に就職して仕事が忙しくなると、『パズドラ』しか楽しめない身体になっていく場面も恐ろしい。趣味と仕事のバランスを上手くとれる仕事に就いていれば、また違う人生があったのではなかろうか、と思わずにはいらなれなかった。

(2021年5月1日@TOHOシネマズ浜松)